オープンソフトのタイムトラッキングツール「Quality-Work」を作りました
PC端末で行った作業を記録して視覚化する「タイムトラッキングツール」を作ってみました。
日頃、自分がPCの前でどのような作業をどれだけしているのか興味がある方は、ぜひ使ってみてください。
タイムトラッキングとは?
どのような作業にどれだけの時間がかかったのかを記録・把握することを「タイムトラッキング」と呼びます。主に、時間の使い方を計画し、優先順位を決めて業務を効率よくこなす「タイムマネージメント」の手段としてタイムトラッキングツールが使われます。作業時間を計測し、その結果を分析した結果をダッシュボードなどに表示してくれます。多くのタイムトラッキングツールが提供されていますが、時間の記録方法により、以下の二種類に分けられます。
- 自分で記録するタイプ
- ツールが勝手に記録してくれるタイプ
自分で記録するタイプ
何にどれだけの時間を使ったかを自分で入力し、記録するタイプのツールです。
タスク名を設定し、開始時間と終了時間を入力するのが基本的な機能です。このタイプのツールは割と多く、Toggl Track、ATracker、TimeCrowd などの他、多数あります。
ツールが勝手に記録してくれるタイプ
これらは、PCの中に監視プログラムを常駐させ、使ったアプリケーションやブラウザで表示したURLなどを時間と一緒に記録するタイプです。アプリケーションや表示したURLの内容によって、何をしていたかを判別して、自動的に振り分け結果を表示してくれます。自分で記録するタイプほどは数はありませんがRescueTime、ManicTime, ActivityWatchなどがあります。
なぜタイムトラッキングが必要なのか
企業にとってのタイムトラッキング
まだ、会社に勤めていた時の話。就業時間のうち何の業務にどれだけの時間を使っているのか知りたくなることがよくありました。
- 慢性的に忙しい部門があるのだが、このような部門では何に時間を取られているのだろうか?
- 逆に、忙しくないと見られている部門もあるが、この部門の人は本当に仕事がないのだろうか?
- 「会議が長すぎる」「報告のための書類が多すぎる」などが問題だと言われるが、これをやめたらどれくらいの効果があるのだろうか?
何の業務にどれだけの時間を使っているのかは、実はよくわかっていません。特に設計部門や管理部門などディスクワークが中心の職場では把握が難しく、使えるデータはほとんどないのが実情ではないかと思います。最近の企業では「働き方改革」などのため色々な施策が取られていますが、それでどのくらいの定量的な効果があるのかは誰にもわかっていません。
フリーランスにとってのタイムトラッキング
その後、会社を辞めてフリーになりました。フリーランスの場合、自分の都合で自由に働ける分自己管理が必要で、その中でも時間管理は重要です。自由な分時間にルーズになりがちですし、机に向かっている時間は長くても実質的に作業をしている時間はそうでもないということも起こりがちです。その意味で、何の業務にどれだけの時間を使っているのかを計測し自分の働き方を客観的に見ることはとても意味のあることです。
Quality-Work
さて、客観的な作業記録を取るとなれば、「ツールが勝手に記録してくれるタイプ」のタイムトラッキングツールが必要になります。このタイプのものはあまり種類がなく、手軽に使えるフリーのものはActivityWatchくらいです。というわけで、これを使ってみると、結構色々なことがわかる非常に良くできたツールですぐに気に入りました。ただ、しばらく使っていくうちに色々と短所にも気づくようになって来ました。
- 日本語の取り扱いに少し問題がある(スェーデンの方が開発されているので、当然そうなるんですが、、)
- 作業の分類の仕方にあまりバリエーションがない
- ユーザインタフェースが今ひとつで、わかりにくい所が多い(特に作業の分類の設定の仕方が一般の方にはわかりにくい)
- 個人向けを対象としたもので、企業などでそのまま導入するのは難しい
ActivityWatchは元々OSSなので、最初はこれに手を入れて改良版を作ろうとしていたのですが、色々やっているうちに最初から作った方が早いように思えて来ました。ということで新たなタイムトラッキングツールを作り始め、この度とりあえず使えそうなものになりました。(作り始める時にはもっと簡単にできると思っていたのですが、やってみるとかなり時間がかかってしまいました。)
できれば、多くの方に使っていただきフィードバックをもらえるとありがたいです。まだまだ、機能的に足りないところや、使いづらいところも多々ありますが、今後も機能追加や改善を続けて行こうと思います。
(了)